コトバンクにおける不可解な記載

ほんの興味から「イオン(ion)」の語源について調べていた。全く科学系の事柄に関しては昏いのであるが、今回少し調べてみたので備忘録的に記す。

結論から言うと、イオン(ion)はギリシャ語の「行く(ienai)」をもとに、ファラデー(Michael Faraday, 1791-1867)が、電気分解の際に移動する物質に対して名付けたものである*1

その際に陽イオンを「下がる」を意味するcation、陰イオンを「上がる」を意味するanionと名付けた。(ここのあたりで、なぜ陽イオンを「上がる」、陰イオンを「下がる」としたのかは調べられていない。)

ここで、コトバンクにおいて不可解な説明がなされていた。ファラデーの電気分解の実験には同じように触れているのだが、陽極と陰極にひきつけられる物質を、「行く」ものとしてイオンと名付けたとしている。そこで、陽極(anode)に引き寄せられるものを陰イオン、つまりanionと名づけ、陰極(cathode)に引き寄せられるものを陽イオン、つまりcationと名付けたとしている。しかし、これは関係が逆ではないのか。なぜ陽極をanodeと名付けたのか。『気ままに有機化学』のようにその振る舞いから名付けられた後に陽極、陰極ともに名付けられたのではないのか。

 

*1:”化学用語の起源(1)『気ままに有機化学』HP”。